専門薬剤師
日本病院薬剤師会では、2006年より専門領域に特化した薬剤師を養成する為にがん専門薬剤師、感染制御専門薬剤師,精神科専門薬剤師、HIV専門薬剤師、妊婦・授乳婦専門薬剤師制度を設けています。専門薬剤師には各領域における薬物療法の専門家であると共にその領域における臨床的、教育的な指導者であることが求められています。

がん専門薬剤師
専門薬剤師の主な目的としては医師の負担を軽減し、最近多発している抗がん剤の誤投与事故などを防ぐ意味で、抗がん剤の専門知識を持った薬剤師を育成することにより、ダブルチェック機能を持たせる事となっています。がん専門薬剤師になるには3カ月の研修を受け、日本病院薬剤師会が行う講習と試験に合格することで『がん薬物療法認定薬剤師』として認定され、その上でがん領域に関する学会発表や学術論文を書き、専門性の高い試験に合格すれば認定されます。
感染症制御専門薬剤師
がんの専門薬剤師と共に日本のトップをきって認定された専門薬剤師制度です。医療機関において感染症の治療や予防を行うには、医師、看護師、感染制御専門薬剤師、その他感染制御専門の専門家などから編成される感染制御チームで対応するのが望ましいとされています。感染制御専門薬剤師は、肝不全、腎不全、未熟児など、一昔前であればそれだけで死亡していたような合併症を持つ重篤な感染症患者であっても、薬物動態理論や臨床薬理学などを用いて、効果と副作用を併せ持つ強力な抗生物質の投与量を適切に決めることができる。このため、感染制御専門薬剤師と共に感染症治療を行う医師は、単独で治療を行う医師よりも、レベルの高い治療をより多くの患者に提供することが可能となります。
精神科専門薬剤師
精神科領域において求められる薬剤師の専門性とは,カウンセリング技術の向上ではなくあくまでも薬物治療においての専門性です。精神科領域ではチーム医療が特に重要となっています。そのチーム医療の中で薬剤師の役割は、医師の処方計画への関与、副作用、効果の等のモニターなどの薬物的ケアや看護師を始めとした他の医療スタッフへの薬剤情報の提供などになりますので、薬剤師は薬物療法に関する情報提供の専門家であることが求められます。
妊婦・授乳婦専門薬剤師
妊婦授乳婦専門薬剤師の目的は妊娠・授乳における薬物療法に関する高度な知識、技術、倫理観により、妊娠・授乳期に特有な母体の変化と、次世代への有害作用を考慮した薬物療法を担い、母子の健康に貢献することとされています。また妊婦・授乳婦に対する薬物療法を母子双方にとって安全且つ適切に実施するため関連の医師と連携するとともに、必要な妊婦・授乳婦にカウンセリングを行います。カウンセリングでは薬剤情報を提供するだけでなく、胎児、乳児に対するリスクの程度を正しく分かりやすく説明することが基本となります。それに対しての問題点などがあれば、医師と協力して最善の方法を見つけることとを使命とします。
HIV感染症専門薬剤師
現在日本のHIV/AIDS対策は、その初期治療対策の遅れから13000 人以上となっており、今後も増加の一途をたどるということが懸念されています。そこで薬剤師がHIV感染症の薬物療法に責任を持つという観点から、制定されたのがHIV専門薬剤師制度です。HIV感染症は抗HIV薬による治療法で管理可能な疾患になってきました。しかし、現在のHIV感染症の治療は根治療法ではなく、生涯服薬を継続しなくてはなりません。そして次々に新規治療薬が開発され薬物療法の効果は改善されており、薬剤師は常に新しい情報の入手が必要です。そしてHIV感染症の治療でもチーム医療が必要と言われています。なかでも薬剤師の役割は大きなものとなっています。